【やはり柱は『G-SHOCK』】「カシオ計算機」の決算を分かりやすく解説(2021年3月期上期)

CASIO

こんにちは、マッハです。

本日は、国産時計主要メーカー(セイコー・シチズン・カシオ・オリエント(EPSON))における決算解説シリーズ

今回は『カシオ計算機』(CASIO)についてまとめていきます。

まず皆さんにお聞きしたいのは、『カシオ』と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?

  • 社名を見ると計算機の会社なの?
  • 「G-SHOCK」が売れてるんでしょ?
  • 時計事業が伸びてるって噂で聞いた

など各々思うところのイメージがあると思います。

個人的には、やはり『G-SHOCK』の印象ですかね。

時計に全く興味の無かった学生時代、とりあえずG-SHOCKだけは着けていたのですが、その「G-SHOCK」を作っている会社が「カシオ」であることを知ったのはその数年先でした。

そんな時計に無知だった自分が今は時計業界で働いてるのは不思議なものです。

そんなカシオ計算機ですが、今回の決算を見ていくことで、主に時計事業における実績と取り組みについて詳しく見ていければと思います。

今回のテーマに関して、以前にこんなツイートをしました↓

上記のツイートにある通り、

第2Qでは「増収率-16%」と減収であったものの、第1Qの増収率「-44%」と比較すると急ピッチで回復に向かっております

そしてこのコロナ禍という未曽有の事態でも、

営業利益黒字

を達成。その要因についてこれから詳しく解説しています。

今回もこちらのカシオ計算機の『決算説明資料』を参考にしております↓

https://www.casio.co.jp/media/jp_ja/ir/results/202011_219/setsumei21_2nd.pdf

では始めていきましょう。

本日は以下の流れになっています。

第2四半期(上期)の決算概要

ではここで、2021年3月期「第2四半期(上期)決算の実績」を見てみましょう。

上記にある通り、

売上高:1,039憶円(前年比:71%)
営業利益:42億円(前年比:25%)
利益率:4.1%(前年:11.4%)
当期純利益:52億円(前年比:41%)

と2021年3月期第2四半期(上期)までの実績として、非常に厳しい結果ではありましたが営業利益(本業の儲け)と当期純利益で黒字を維持しております。

事業別売上

では、事業別の売上について目を向けていきましょう。

まずはこちら↓

現在の「カシオ計算機」という会社の事業は主に、

  • 時計
  • 教育関数(※電卓関連
  • 辞書
  • 楽器
  • プロジェクター
  • その他システム

によって成り立っています。

上の図より、「楽器」事業以外は前年比に対して数字を落としています

楽器事業に関しては、『Slim&Smart』というヒット商品と巣ごもり需要によってコロナ禍においても売り上げを大きく伸ばしています。

出典:https://www.casio.co.jp/media/jp_ja/ir/results/202011_219/setsumei21_2nd.pdf

『時計事業』に関しては、

第1Q(4-6月):前年比58%
第2Q(7-9月):前年比83%
上期(4-9月):前年比72%

第1Qに対して大きく回復しております。

ちなみにセイコー・シチズンの時計事業の上期実績が

セイコー:前年比約61.1
シチズン:前年比約52.7
(※2021年3月期「時計事業」の上期実績)

であることを考えると、相対的にダメージは少なかったと言えるでしょう。

具体的な『時計事業』の実績(売上高&営業利益率)はこちら↓

上期の「時計事業」では、

  • 売上高:605億円
  • 営業利益率:17%
  • 増収率:-29%

とマイナスであるものの、『営業利益率:17%』と時計事業では異常値をたたき出しています

この点に関しては後ほど詳しく見ていきます。

ちなみに、カシオの展開する事業の中で最も規模が大きいのは『時計事業』

21年3月期の上期(4-9月)だけ見ると、

全体売上:1039億円
時計事業売上:605憶円

単純計算で半分以上の売上を「時計事業」で上げています

社名に「計算機」とつくので電卓がメイン事業かと思われがちですが、実はそうでもない。ここらへんは数字を見ていかないと分からないところです。

上記で見てきた通り、相対的にダメージが少なかったと言える『時計事業』。

次にその売上を支えた要因について見ていきます。

『時計事業』をさらに詳しく分析

ここではさらにカシオの時計事業を解剖していこうと思います。

カシオの柱はやはり『G-SHOCK』

まずはこちらのグラフを見ていただきたい↓

出典:https://www.casio.co.jp/media/jp_ja/ir/results/202011_219/setsumei21_2nd.pdf

こちらは

「第1Q、第2Qにおける時計事業の売上構成比

になっています。

これを見ても分かる通り、やはりカシオの時計事業の主力は『G-SHOCK(BABY-G)』(以下『G-SHOCK』に統一です。

さらに、こちらの時計事業の第2Q(7-9月)の実績↓

こちらに目を向けると、

売上高:383憶円(※時計事業のみ)

に対して、

メタル&プラの『G-SHOCK』の売上:243億円
構成比:約63.4%

時計事業全体の売上に対して『G-SHOCK』(メタル&プラ含む)が大きな割合を占めています

もちろん決算書でも述べられている通り、今期はコロナウイルスで時計需要が大きく減少したので、例外的にG-SHOCKの構成比率が上がっています。

ただ例年も時計事業売上の半分以上を占めていることから、カシオの時計事業の柱は間違いなく『G-SHOCK』であると言えるでしょう。

エリア別では”中国”が牽引役

では、時計事業における『エリア別』の売上高の比較を見ていきましょう。

それがこちら↓

カシオ計算機は、時計事業の展開を主に

  • 日本
  • 北米
  • 欧州
  • 中国
  • その他

という4つのエリアとその他に分類しています。

そして今回の決算で何より注目すべきエリアは、「中国」

上期の売上においては中国以外のエリアで売上を落としているにも関わらず、中国ではコロナ禍にも関わらず“+20%”と増収

例えば、アリババグループの天猫(Tmall)に次ぐ、中国ネットショッピングモール第2位の『京東商城(JD.com)』が行った「スーパーブランドデイ」では、

売上 4.68億円

というすさまじい売上をあげました。(※『京東商城(JD.com)』はテンセントグループ)

単日でこの売上は異常です。
一体G-SHOCK何本売れたのでしょうか。

このようにECやSNSなどネットが大きく発展した中国での、TikTokなどのSNSを通じた情報拡散(マーケティング)などの要因によってネットショッピング(EC)での売上拡大に成功しています。

販売の”EC比率”の向上

先程見てきた通り、カシオの時計事業の特徴として『オンライン化』に成功していることです。

以下は【オンライン/オフライン販売実績】になるのですが、

上の図から分かるように、第2QのEC販売は前年比約+30%と大幅拡大(EC販売比率約35%)

逆にコロナ禍の影響もあり、実店舗は大きく売上を下げました

2020年に起こったコロナウイルスの感染拡大は人々の購買行動に変化を与えました。
それは”オフライン⇒オンライン”の流れを加速させたこと。

そしてこの流れはアフターコロナでも止まることはないでしょう。

であれば、今後の『EC販売比率』の向上は、時計業界に限らず小売業界全体に当てはまる重要な課題です。

そこにいち早く取り組み、成果を出している事はカシオの大きな強みになるでしょう。

■今回の決算を受けて思う事

ここまでで「2020年度(2021年3⽉期)第2Q決算」について解説していきましたが、最後にこれらを受けて個人的に思うところをまとめていきます。

それが以下の3点。

①実は国産時計メーカーの「シェアNo.1」
②時計業界では異常な”利益率の高さ”
③時計事業は安泰。ただ一方で…

それぞれ見ていきましょう。

①実は国産時計メーカーの「シェアNo.1」

皆さんは

「国産時計主要3メーカー(セイコー・シチズン・カシオ)の中でどこが一番?」

と聞かれれば、何となく『セイコー』をイメージする方が多いのではないでしょうか。

「日本の時計=セイコー」

のイメージが強いからでしょうか。

中には、「中国やアメリカで売上を上げているシチズンじゃない?」と思う方もいるかもしれません。

自分も決算の実績を見る前まではそう思っていました。

が、現実はそうではありません。

実は、『国産時計メーカー内シェアNo.1』は”カシオ”なのです。

「業界動向 SEARCH.COM」によると、「時計業界シェア&ランキング」2019-2020年)は以下のように。

  • 1位:カシオ計算機 売上高:1,643憶円
  • 2位:シチズン時計 売上高:1,416億円
  • 3位:セイコーHD 売上高:1,337億円

(出典:「業界動向 SEARCH.COM 時計業界」)

つまりカシオは、1974(昭和49)年に同社最初の腕時計「カシオトロン」を発売してから、50年経たずして国内時計業界の頂点まで上り詰めたのです。

過去にはカシオが機械式時計を作っていないことから、

「時計メーカーではない」

と一部に批判や揶揄されていた時期もありましたが、今ではそんなことを言う人はほとんど見かけなくなりました。

そういった意味で、実力で名声を勝ち取ったメーカーとも言えるでしょう。

②時計業界では異常な”利益率の高さ”

カシオの時計事業の良い意味での恐ろしさは、その売上高だけではありません。

注目すべきはその「利益率の高さ」

以前にこんなツイートをしました↓

もう一度こちらを見ていただきたいのですが、

と時計事業においては、利益率20%という非常に高い水準であります。

これがいかにすごいかは、同じく国産時計メーカーのセイコーとシチズンと比べてみると分かりやすい。

セイコー:時計事業の営業利益率

約7.3%(2019年3月期通期)
約7.5%(2020年3月期通期)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8050/ir_material_for_fiscal_ym2/80334/00.pdf

シチズン:時計事業の営業利益率

約7.6%(※2018年度通期)
約2.8%(※2019年度通期)

https://www.citizen.co.jp/ir/ir/briefing/2018.html

シチズンは、コロナ以前で時計事業が好調であった2018年通期においても営業利益率は7.6%となっています。

単純に利益率を比較してみても、いかにカシオの時計事業の利益率の異常さ(良い意味です)がご理解いただけたかと。

これは様々な要因があると思いますが、

「G-SHOCK」という圧倒的ブランド力による、
「研究費開発費/人件費/生産コスト」の抑制

によるものが大きいかと個人的には思います。

現状「G-SHOCK」に匹敵するライバルがなく、一度ムーブメントや外装の型が完成してしまえば、あとは異なるデザインやコラボレーションモデルが出れば予約で埋まってしまう。

そんな状況なので他メーカーに対してまずは、

研究費開発費

が抑制できます。

さらにカシオの時計にはG-SHOCK以外にも、

オシアナス(OCEANUS)
⇒深海の「青」をイメージしたテクノロジーを凝縮したメタルウォッチ

プロトレック(PRO TREK)
⇒「温度・気圧・高度・方位」など自然の変化を感知するセンサーを搭載したアウトドアウォッチ

ウェーブセプター/リニエージ
⇒ソーラー電波機能搭載で、主にデジアナの低価格の高機能ウォッチ


といったブランドを抱えているのですが、これらもそれぞれ他メーカーには無い差別化をしています。「これはカシオにしかない」といった印象でしょうか。

差別化によって自動的に売れる仕組みを作り上げることで、

人件費

が抑制できます

また、圧倒的ブランド力があるのであれば、わざわざ生産コストの高い日本で作る必要は無い。

上位モデル以外は「Made in Japan」にこだわらず海外(東南アジアや中国)で製造。

さらに1本1本の単価は高くないものの本数が圧倒的に売れるので大量生産によりさらに生産コストを下げられる

ということで、海外生産&大量生産によって

生産コスト

が抑制することができます。

つまりカシオ計算機は、ブランド力・差別化による

徹底したコストカット体質企業

でもあると言えるのではないでしょうか。

これによって時計業界では異常とも言える利益率をたたき出しているのです。

③時計事業は安泰。ただ一方で…

ここまで見てきた通り、時計事業はコロナ禍で売上は落ちてはいるものの、時計事業の柱である「G-SHOCK」を中心に不況に強い体質であることが理解いただけたかと思います。

しかし「カシオ計算機」という会社を語る際は、成長事業かつ規模の大きい「時計事業」だけを見ているとその実態を見誤ります。

ですので今回はあえて時計事業以外にも目を向けたい

というのも「カシオ計算機」の事業の構造上、時計事業で稼いだ利益で別の事業の補填や新規事業の開拓に充てています

ここ10年を見返しても、スマートフォンの登場や競争の激化によって

  • スマートフォン事業
  • カメラ事業
  • プリンター事業

が撤退の憂き目に合ってきました。さらに現状では

  • 電子辞書
  • 計算機(電卓)

あたりもスマートフォンの普及拡大や教育現場へのタブレット端末導入などの外部要因によって市場を脅かされかねない

さらに、プロジェクター事業の汎用プロジェクターも撤退が決まっています。

カシオ、中型プロジェクター撤退
カシオ計算機は赤字続きの中型プロジェクターから撤退する。年間売上高は100億円ほどだったが、価格競争が厳しくなる中で、新型コロナウイルスの影響により需要も落ち込み、立て直しが難しいと判断。今後は投影部品の小型化技術を生かし、AR(拡張現実)やスマートビルといった新たな領域の開拓にかじを切る。中型プロジェクターの生産を徐...

『会社全体の売上』に目を向けてみると、

2008年には、6230億5000万

あった売上高が

2019年には、2981億6100万

と半減(出典:https://irbank.net/E01935/results

一見安泰に見える決算実績とは裏腹に、これまでのカシオ計算機の展開してきた事業経緯を見ると時計事業以外は意外と安泰とは言えない。

拡大していかなければ衰退。

会社全体としてはそういった危機感を持っているのだと思います。

本来は時計事業に注目していくのですが、このままいくと「カシオ最強!」で終わってしまうので、あえてバランス保つために今回だけ他事業にも触れさせて頂きました。

最後に

いかがでしたでしょうか。

今回の決算を見ると、カシオ計算機の時計事業がいかに優良で盤石な体制であるかをご理解いただけたかと思います。

マッハも最初にカシオの決算を見た時には優良企業すぎて驚きました。

そしてその中心にあるのは、もちろん「G-SHOCK」。

現状、G-SHOCKに代わる目ぼしいライバルがいないこと、オンラインでのEC販売へのシフトが上手くいっていることから、今後は国内外でますますそのシェアを拡大していくのではないかと予想しております。

カシオの進撃は続く

これからも国産時計メーカーの中核として、世界中の多くの方にその時計の良さを広げていって欲しいと思います。

では本日は以上となります。

あと普段はTwitterもしているので、ぜひ気軽にフォローや今回の記事に関するコメントなどを頂けると嬉しいです。

以上、マッハでした!

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