【2期連続赤字見込み】改めてCITIZEN(シチズン)時計の決算解説(2021年3⽉期第2四半期)

CITIZEN

こんにちは、マッハです。

本日は『【2期連続赤字見込み】CITIZEN(シチズン)の決算解説』ということで、シチズン時計株式会社(通称:「CITIZEN」)の2020年11月12日に発表された決算を再度振り返ってみましょう。

ただ、このブログでは『時計』をテーマに扱うので、時計事業以外の部分に関しては割愛させていただきますので予めご了承ください。

少し前ですが、本日のテーマに関してこんなツイートをしました↓

こちらのツイートにもある通り、コロナウイルス感染拡大の影響から予想はされていましたが、2020年上期の決算は非常に厳しい結果となりました。

ちなみに2019年通期での実績は、

「純利益:166億円の赤字」となっています。

これによって2019年に引き続き2020年通期の二期連続赤字が濃厚になってきました。

ただ、厳しい中でも2020年第1四半期に比べて回復の兆しも見えてきたので、そのあたりも踏まえて解説できたらと思っています。

本記事の作成にあたり、以下の決算説明資料を参考にしております。

決算説明会資料|シチズン時計株式会社
シチズン時計の企業情報、IR情報・CSR・環境・社会活動、採用情報、シチズングループ情報の公式企業サイトです。

本日は以下の流れになります。

■「2020年度(2021年3⽉期)第2Q決算」実績

まずは第2四半期(上期)決算の実績を見てみましょう。

上記の通り、2020年度の上期(4月~9月)実績は

売上高:889億円(前年同期比:-554億円)
営業利益:-82億円(̠前年同期比:-139億円)
営業利益率:-9.3%
純利益:-215億円(前年同期比:-251億円)

「シチズン時計決算説明資料」より

と昨年の同期比に対して非常に厳しい結果となりました。

(※営業利益とは、会社が本業で稼いだ利益のことを指します)

さらに、シチズン時計株式会社は2020年末時点で主に

時計事業
②工作機械事業
③デバイス事業
④電子機器他事業

4つの事業セグメントから成り立っています

このセグメント別の業績推移は以下のようになっています。

このうち『時計事業』に着目すると、2020年度上期実績は

売上高:381億円(前年同期比:-342億円、増減率:-47.3%)
営業利益:-53億円(前年同期比:-88億円)

「シチズン時計決算説明資料」より

と昨年に対して売上高がほぼ半減。さらに大幅な営業赤字。

他事業に対しても、時計事業が相対的にダメージが大きくなってしまう形となりました。

■『時計事業』の概況について

ではここでより詳細にCITIZENの『時計事業』の概況について見ていきましょう。

まずはこちらをご覧ください。

先ほども見た通り、上期(4月~9月)は昨年に対して大幅な減収減益となりました。

ただ2020年度「下期」(10月~翌3月)に関しては、

予想売上高:578憶円(前年同期比:-114億円)
予想営業利益:-41億円
前年同期比:-45億円)

「シチズン時計決算説明資料」より

減収減益ですが、その幅は縮小すると予想されています。

実際に下の「地域別販売状況」のグラフやデータから見て取れる通り、業績回復の兆候が見られていています。

コロナウイルス感染拡大防止のため、世界的なロックダウンを行っていた第1Q(4~6月)から、第2Q(7~9月)はマイナスではあるものの、世界的な地域別に見てもその前年同期比に対する増減率は縮小傾向にあります。

もちろんインバウンド需要の比率が高かった日本国内でのマイナス幅は「-51%」と依然として大きいものの、北米、欧州、アジア圏などは大きく改善してきております。

時計事業の取り組み

回復傾向にあるものの、依然として厳しい状況が続く時計事業。

そんな時計事業の収益改善に向けたシチズンの取り組みは以下のように。

こちらから分かるように、事業改善の主な取り組みは

①ムーブメント事業の再構築
②EC販売の強化

であることが分かります。

ムーブメント事業の再構築

今回の決算説明資料の中で

ムーブメント事業の再構築については、縮小傾向にある需要に市場に対応すべく、生
産規模の適正化を進めている

とある通り、コロナ以前よりスマートウォッチの台頭や中国製普及価格帯メーカーとの競争などの理由からアナログクオーツムーブメントの販売が振るわない状況でした。

そのため需要に合わせて、生産ラインを縮小することで適正化を図っているのだと思います。

こちらは2020年12月末付けで行われた、子会社『シチズン時計マニュファクチャリング』の希望退職募集にも関連しているのでしょう。

シチズン希望退職、想定超える632人応募

さらに資料の中に、

機械式ムーブメントの製造の合理化・自動化に取り組んでおり、今後も安定した需要が見込める機械式ムーブメントで、着実に利益を創出できる体制を整えていきます

とある通り、製造ラインの合理化・自動化で製造コストを引き下げ、アナログクオーツの縮小を安定した需要が見込める機械式ムーブメントで補おうということなのでしょう。

②EC販売の強化

「EC販売の強化」はどのメーカーも抱える今後も重要となってくる課題です。

コロナによって人々の購買様式が実店舗(リアル)からEC(ネット)に流れており、仮にコロナが収まったとしてもこの流れは変わらないでしょう。

実店舗が完全に無くなるということは、「時計」という商品の性質上から考えて非現実的ですが、今後その重要性が薄くなっていくことは間違いないでしょう。

実店舗の販売員としては悲しい事実ですが、時代の変化についていきたいところ。

話を戻すと、現状のシチズンの『地域別EC販売比率』は以下のように。

地域別EC販売比率
中国︓2Q 7割弱
北⽶︓2Q 2割半ば
国内︓2Q 1割半ば

こちらから中国市場に関しては、EC販売比率が7割弱とかなり比重が高いことが分かりますが、北米が2割半ば、日本が1割半ばとEC販売比率がまだまだ低いことが挙げられます。

どうしても老舗の会社などでは、既存の実店舗(リアル)の繋がりを重視してEC化が遅れがちです。もちろん実店舗で優秀な成績を収めた人が上の立場に出世するという側面もあるのかと思うのですが。

裏を返せばまだ向上の余地があることなので、コロナ禍でリアル店舗での売り上げ向上が見込めない中でEC比率をどこまで高められるかが課題かと。

■今回の決算を受けて思うところ

ここまでで「2020年度(2021年3⽉期)第2Q決算」について解説していきましたが、最後にこれらを受けて個人的に思うところをまとめていきます。

それがこの3つ。

  • ①コロナ前のシチズンは業界の先駆者
  • ②従業員数が多く労働集約型
  • ③”ソーラー偏重”はリスキー

ではそれぞれ見ていきましょう。

①コロナ前のシチズンは業界の先駆者

まず個人的に思う事としては、シチズン自体の戦略は非常に理にかなっていたように思えます。(上から目線で申し訳ないw)

国内時計市場は、主に「セイコー・シチズン・カシオ」の3強状態

ここから国内で大きくシェアを伸ばすのは残り2社の壁があり現実的に難しい。仮にできたとしても大きく消耗して費用対効果が低い。

であれば、海外に目を向けて売上高を増やそうという考えは自然の流れで、そこからセイコー、カシオに先駆けていち早く主に北米・中国市場に進出。そこで成功を収め、売上を伸ばしました。

さらに海外で名が通るメーカーになったことで、日本国内でのインバウンド需要を取り込むことにも成功。海外で有名となることで国内でも売上が上がるという好循環を生みました。

実際に2019年3月決算の国内主要3メーカーの売上高は、

カシオ計算機:1,718億円
シチズン時計:1,635億円
セイコーHD:1,403億円

参照:業界動向サーチ

となっており、国内含む世界での売上を含むと因縁のライバルであるセイコーを超える実績を出していたのです。


しかし、これがコロナで一変

世界的に海外への渡航は制限されインバウンド需要は激減。売上全体に対してインバウンド需要が占める比率が大きいことが仇となり、今回のように実績が大きく低迷する形となりました。

時代の流れを読み、先駆けて海外を開拓していたシチズン。

事前にコロナウイルスのパンデミックを予測することなど不可能であることを考えると、その相対的ダメージが大きいからと言ってシチズンの戦略が間違っていたとは思えず、むしろ進むべき道を先駆けていた業界の先駆者的存在であったと言えます。

②従業員数が多く労働集約型

2つ目は、『従業員数が多く労働集約型』であるという事。

これは今回の決算で気づいたというより時計業界で働いていて気付いたことですが、それはシチズン関係者の営業や販売員数が比較的多いということ。

実際に調べてみると、

シチズンのでの連結従業員数は17,753人。(2020年9月末時点)

参考までに、他の国産メーカーでは

カシオ計算機は10,725人(2020年9月末時点)
(参照:https://www.casio.co.jp/media/jp_ja/ir/results/202011_219/sankou21_2nd.pdf

セイコーはグループ連結で12,193人(2020年9月末時点)
(参照:https://ssl4.eir-parts.net/doc/8050/ir_material_for_fiscal_ym2/89033/00.pdf

シチズンも1年前の2019年上期時点(20,596人)より、3000人ほど従業員数は減っていますが、依然として同業他社と比較しても従業員数が多い水準にあり、マンパワーで売上を立てている労働集約型であることが分かるかと思います。

つまり、自分の気づきは思い込みではありませんでした。

そしてここからは自分の完全な予想ですが、今後は従業員数を少なくせざるを得ないと思われます。

理由としては、シチズンが以前の売上水準に戻すためにはコロナが落ち着き、インバウンド需要が戻ることが必須条件になってきます。

そしていつコロナが終息するか、海外旅行客の往来が解除されるのかが不透明である以上は、経費(固定費)を削減することで損益分岐点を引き下げ、何とか黒字になる(赤字を回避する)ようになるように持っていくしかない。

つまり、先ほどの「ムーブメント事業の再構築」にあたり生産ラインを適正化したように、現状の同業他社と比較して高い水準にある従業員数を、今後はさらに適正化していくことが予想されるのです。

③”ソーラー偏重”はリスキー

そして今回の決算を受けて思うこと3つ目は、“ソーラー偏重”はリスキーであるということ。

決算資料の中で、今後の時計事業の取り組みとして『ムーブメント事業の再構築』が挙げられていましたが、メーカー側にはこんな危機感があるようです。

ムーブメント事業においては、低価格帯を中心としたアナログクォーツ市場が減少傾向にあることや中国メーカーの台頭等に基因する競争環境の激化による単価下落の環境にあるため、数量減少及びシェア低下の危険性があります。

https://www.citizen.co.jp/ir/manage_policy/risk.html

つまり、アナログクオーツのムーブメント事業は中国メーカーやスマートウォッチの台頭によって減少傾向にある。

だからこそ需要の安定している機械式ムーブメントの販売に力を入れていこうという事ですが、2020年末現在、シチズンブランドは『Eco-Drive』を中心としたソーラー時計をメインに展開しています。

シチズン自身がソーラークオーツを推し進めてきた中で、自社製品で使用されることが少ない機械式ムーブメントが販売できるのかは疑問が残るところではあります。

そしてソーラークオーツ自体の限界も見え始めています。

なぜならばスマートウォッチの台頭によって、それまで先進的であったソーラーの技術がより先進的な技術に取って代わられようとしているからです。

スマートウォッチであれば、Bluetoothによって時間が正確であることはもちろんのこと、

・心拍計測
・運動ログ(記録)
・SNSや電話の通知
・GPS機能

などなど多種多様な機能が不随しています

「『便利』は、『より便利』に取って代わられる」

ということでしょう。

もちろんだからと言って時計市場からソーラー機能自体が無くなる、という極論を言うつもりはありませんが、今後は市場の中でのシェアを伸ばしづらくなる、もしくは緩やかに減退することが予想されます。

そういった意味でも”ソーラー偏重”というのはシチズンにとってもリスキーで、ムーブメント事業との相乗効果を生むために、再び機械式時計へ力を入れるなどの方向転換が必要になってくるのかと思います。

■最後に

いかがでしたでしょうか。

『時計』というのは、どうしてもブランドイメージと切っても切り離せないので印象やイメージで語られがちです。

もちろんこれを否定する気はさらさらありませんし、時計の本質はそれ自体が持つ”ブランド価値”にあると強く思っています。

ただ一方で、思い入れやイメージを抜きにあえて”時計を数字で語る”という場所があっても良いのではと思い、国内の時計メーカーの決算解説に興味を持ちました。

もちろん同時に自分が働いている時計業界の実態を知りたいという気持ちもあります。

という事でこれからも時計の魅力を伝えつつ、こういった決算という数字の両面から時計・時計業界を語ることができたらと思っています。

今回のシチズンの決算は非常に厳しい結果となりましたが、国産時計メーカーの雄としてここを何とか乗り越えてコロナ前以上のシェアの拡大をして欲しいです。

では本日は以上となります。

普段はTwitterもやってしているので、今回の記事の感想や質問などあれば気軽にリプやDM頂けると嬉しいです。

以上、マッハでした!

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